家賃保証会社が倒産すると、これまで保証されていた家賃の支払いが受けられなくなる可能性があります。突然の事態に戸惑うオーナー様も多いですが、冷静に対応することで損失を最小限に抑えることが可能です。ここでは、オーナーが取るべき具体的な対応策を解説します。
Methods
家賃保証会社が倒産した場合の
オーナーの対処法
万が一家賃保証会社が倒産した場合、オーナーが行うことは大きく3つです。状況によって変わりますので、必要な手続きを見極めて対応しましょう。
借主への状況説明
借主に家賃保証会社の倒産を事実として伝えることが重要です。保証契約が無効となることで、「家賃はどこに払えばいいのか」「今後の契約はどうなるのか」といった不安を抱く可能性があります。混乱を防ぐためにも、状況と今後の方針をわかりやすく説明しましょう。
新たな保証会社・連帯保証人の手配
新たな家賃保証会社との契約や連帯保証人の追加・変更を検討し、必要に応じてオーナーが手配しましょう。賃貸管理会社がいる場合、新しく紹介してくれる場合もあります。
借主の属性や入居年数によっては、再審査が必要になることもあるため、事前に複数の保証会社に相談しておくとスムーズです。
また、連帯保証人の追加や変更も選択肢の一つです。高齢の親族が保証人になっている場合などは、より現実的かつ支払能力のある人物への切り替えを促すことも検討しましょう。
法的手段の検討(滞納発生時)
すでに家賃滞納が発生している、または今後滞納が懸念される場合には、法的手続きを視野に入れる必要があります。
支払督促や通常訴訟・建物明渡請求などの手続きがあります。自分で行うこともできますが、必要に応じて弁護士へ相談しましょう。
また、滞納が長期化している場合は、家賃債務保証の代替手段として債権回収会社の活用も検討できます。いずれにせよ、感情的に動かず、法的に正しい手続きを踏みましょう。
Methods
家賃保証会社の倒産による
オーナー側のリスクとは
家賃保証会社の倒産すると、保証契約が機能しなくなることで、家賃収入の確保が不安定になり、契約や金銭面でのトラブルも発生しやすくなります。ここでは、オーナーへの影響と賃貸経営リスクについて紹介します。
オーナーの業務負担の増加
家賃保証会社が倒産すると、オーナーは本来保証会社が担っていた督促業務や借主対応をオーナーが対応しなければなりません。たとえば、家賃の回収や再契約の交渉、法的手続きの検討など、煩雑な業務が一気に増加します。
こうした負担は本業のあるオーナーにとって大きな負担になります。適切な対応を誤ると法的トラブルにつながるリスクもあるため、不動産会社や弁護士など専門家に相談しましょう。
滞納家賃の支払いが受けられなくなる
最大のリスクは、滞納家賃が保証されなくなることです。保証会社が倒産すれば、入居者が滞納した家賃の立替えは行われません。結果として、オーナーは本来受け取れるはずだった家賃収入を失う可能性があります。
特に長期間にわたる滞納や複数戸の滞納がある場合、キャッシュフローに深刻なダメージを与えます。
借主との再契約交渉が必要になる
保証契約が失効すれば、現行の賃貸借契約の見直しが必要になるケースもあります。特に、入居時に「保証会社の利用」を条件としていた場合、新たな保証会社の選定や連帯保証人の追加など、借主との再契約交渉が避けられません。
しかし、借主が新たな保証契約に同意しない、あるいは審査に通らない場合、契約関係そのものが不安定になるリスクもあります。
家賃の二重取りや保証料再請求の
トラブル
倒産のタイミングによっては、家賃の支払先が不明確になる「二重請求」トラブルが発生することがあります。たとえば、保証会社がすでに借主から家賃を徴収していたが、そのまま倒産してオーナーに家賃が届かない、といったケースです。
さらに、新たな保証会社と契約する際には、借主に対して再度保証料が請求されることになり、トラブルに発展する可能性があります。これにより借主との信頼関係が悪化し、退去リスクにもつながりかねません。
Cause 家賃保証会社が倒産する原因
保証会社特有のリスクが存在し、過去には実際に倒産したケースもあります。ここでは、家賃保証会社が倒産する主な原因を整理していきます。
事業モデルと倒産リスク
家賃保証会社の多くは「家賃の立替払い」を主業務としています。これは一見安定したビジネスのように見えますが、キャッシュフローが崩れると一気に資金繰りが悪化する構造です。
特に「集金代行型」の保証会社の場合、入居者から家賃を回収してからオーナーに送金する仕組みのため、入居者からの入金が滞ると保証会社自体の運転資金が不足しやすくなります。
また、立替えを行った分の回収が進まないと、損失が積み重なり倒産に至る危険性が高まります。
保証会社は、短期的な資金負担と中長期的な回収リスクを常に抱えている事業構造であることを、オーナーも理解しておく必要があります。
リプラス倒産事件に見る傾向
2009年に民事再生を申請した家賃保証会社「リプラス」は、業界のリーディングカンパニーでありながら、過剰な保証引受や事業拡大により資金繰りが悪化し倒産に至ったケースです。
この事例から分かるのは、「規模が大きい」「知名度が高い」だけでは倒産リスクを免れないということです。実際、リプラスの倒産時には、複数のオーナーが家賃未回収や借主との契約トラブルに巻き込まれました。
また、倒産時の財産管理がずさんであったため、オーナーへの支払いが宙に浮いたまま回収できなかったという事例も多数報告されています。
このように、保証会社の経営基盤や財務体質、事業管理体制を見極めることが、オーナーにとって非常に重要であるといえます。
Point
家賃保証会社選びで重視すべき
ポイント
家賃保証会社の倒産は、オーナーにとって家賃収入の停止や借主との再契約など、非常に大きな負担を伴います。こうした事態を防ぐためには、保証会社を選定する段階での慎重な見極めが不可欠です。以下の4つの視点から、信頼できる家賃保証会社を選ぶためのポイントを解説します。
信託スキームを導入しているかどうか
信託スキームとは、オーナーに支払う家賃を保証会社の資産と切り離して信託財産として保全する仕組みです。これにより、たとえ保証会社が倒産したとしても、信託財産がオーナーに確実へ支払われます。
一方、信託スキームがない保証会社は、集金済みの家賃が会社の資産とみなされ、倒産時に回収できなくなるリスクがあります。特に「集金代行型」の保証会社を利用する場合は、必ず信託スキームの有無を確認しておきましょう。
健全な財務体質・事業規模か
保証会社の経営基盤の安定性は、倒産リスクを判断するうえで非常に重要です。財務諸表を開示している会社であれば、自己資本比率や利益剰余金の状況を確認し、健全な運営が行われているかを見極めることができます。
また、事業規模も安定性の指標の一つです。大手不動産グループの傘下で運営されている保証会社は、経営資源やリスク耐性が高く、安心感があります。逆に、資本が乏しく小規模で実態が不透明な会社は、わずかな資金トラブルで経営が立ち行かなくなるリスクがあります。
管理業務の透明性と実務対応力
保証契約は一度結べば終わりではなく、家賃滞納時の対応や入居者とのトラブル処理など、日々の実務に直結する業務が多いものです。こうした対応を適切に行える実務力と、業務内容の透明性が求められます。
- 滞納発生時の対応フローは明示されているか
- オーナーや借主への報告・連絡体制が整っているか
- 契約内容がわかりやすく、説明責任を果たしているか
このような点を契約前に確認することで、保証会社の対応力を事前に把握することができます。曖昧な回答や契約内容の不透明さが目立つ場合は要注意です。
行政指導履歴や評判・クチコミ
過去に金融庁や消費者庁、地方自治体などから行政指導を受けていないかどうかも、保証会社の信頼性を判断する重要なポイントです。行政処分の有無はインターネットで調査可能な場合もあります。
また、実際に利用しているオーナーや入居者の声も有効な判断材料です。「対応が遅い」「説明と違った」といった悪い口コミが多い場合は、契約前に慎重な判断が必要です。反対に、オーナー向けサポートの手厚さやトラブル対応の速さなど、高評価のレビューが多ければ信頼性は高いと言えるでしょう。
Trust Scheme 信託スキームとは?
家賃保証会社の倒産リスクを回避する手段の一つとして注目されているのが「信託スキーム」の導入です。信託スキームとは、集金した家賃を保証会社の資産とは別に管理し、オーナーの資産として法的に保全する仕組みを指します。これにより、万が一保証会社が経営破綻しても、家賃収入が確実に守られるようになります。
信託サービスでオーナーの
家賃を守る仕組み
信託スキームを導入している保証会社では、借主から集金した家賃をあらかじめ信託口座へと移し、その財産をオーナーのために分別管理します。信託された家賃は法律上、保証会社の倒産時に差し押さえの対象とはならず、破産財団に含まれないためオーナーの手元に確実に戻るのが大きな特徴です。
この仕組みによって、オーナーは「集金済み家賃が保証会社の破綻によって消失する」といった最悪のケースを回避できます。
集金代行型との違い
一方で、信託スキームを導入していない「集金代行型」の保証会社の場合、家賃は一時的に保証会社の口座に集約されます。この際、家賃は保証会社の一般的な資産として扱われるため、会社が倒産した場合には他の債権者への返済に充てられてしまう可能性があります。
つまり、集金代行型ではオーナーの家賃が保護される法的裏付けがないため、保証会社の経営状況次第で、家賃が未払いになるリスクが現実的に存在します。
信託スキーム付き保証会社を
選ぶメリット
信託スキームを導入している家賃保証会社を選ぶことには、以下のようなメリットがあります。
- 倒産時の家賃未払いリスクを大幅に軽減できる
- オーナーの財産が法的に保護されている安心感
- 長期的に安定した賃貸経営が可能になる
- 借主からの家賃支払いが保証会社の倒産に左右されない
保証会社を選定する際は、単に知名度や手数料の安さではなく、信託スキームの有無という観点も含めて比較検討することが、経営リスクを最小化するカギとなります。
家賃保証会社の倒産に備えて
事前の対策を
家賃保証会社の倒産は、家賃収入の途絶や借主との再契約、トラブル対応など、オーナー様に大きな負担を与えるリスクです。特に自主管理の一棟オーナー様や区分所有オーナー様は、万が一に備えた対策が不可欠です。
倒産リスクの低い保証会社を見極めるには、信託スキームの有無や財務体質、実務対応力などを確認することが重要です。
「今の保証会社で大丈夫か不安」「管理体制を見直したい」と感じたら、ぜひさんれいコンサルティングにご相談ください。安心できる賃貸経営を実現するためのご提案をさせていただきます。
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