賃貸経営で最も重要な業務の一つに、入居者からのクレーム対応があります。
2019年の国土交通省によれば、「借主間、近隣住民との間の苦情対応」が最も対応困難なトラブルであるという調査結果もあります。
参照:賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(2019年)|国土交通省
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Claim
賃貸経営でよくある
クレームと対応方法
賃貸経営をしているとよく遭遇するクレームとその対処方法を解説します。
設備不良・修繕
居住空間や共用部の設備が故障してしまったり壊れてしまったりすると、入居者から対応の依頼が舞い込んできます。具体的には下記のような内容です。
- 漏水・水漏れ
- ガス設備の故障
- 備え付け家電の故障
- 共用の備品の破損や不備
漏水・水漏れ
上の階から漏水して雨漏りしている、蛇口を締めても水が止まらないなど、水道周りのトラブルは比較的頻度が高いクレームです。
生活に支障をきたす場合もあり、緊急性が高い内容となります。原因の究明と修理を最優先で行いましょう。特に漏水は電気設備へのダメージや床材・壁材の腐食など、物件への損害も考えられます。
水道の元栓を閉めるように入居者に伝え、水道修理業者に早急に来てもらうように手配しましょう。
ガス設備の故障
給湯器がつかない、シャワーのお湯が出ないなどのクレームは、ガス設備の故障によるものです。
こちらも生活に必要な設備の故障ですので、早急な対応が求められます。特にガス漏れは最悪の場合、引火の事故や健康被害といったことも想定されます。
まず入居者への対応として、ガスの元栓を閉める・電源を抜くなどを伝えましょう。同時にガス会社とメーカー又は修理業者への依頼をして、対応してもらいましょう。
備え付け家電の故障
エアコンがつかない・インターネットがつながらないといった問い合わせも多くあります。
特にエアコンは夏場・冬場の生活に欠かせない地域もあります。季節によっては入居者がイライラしてしまうこともあるでしょう。
備え付け家電の場合、オーナー負担での交換が一般的です。なるべく早く交換の手配をしましょう。
共用の設備・備品の破損や不備
ゴミ捨て場のネットが敗れてしまった・共用部の廊下の電気が切れているなど、共用部の設備・備品についてのクレームです。
これらの対応はおざなりにすると、入居者の不満がたまり早期退去や空室率の向上といった悪影響が出てきます。
共用部の整備はオーナー負担です。スピーディーな対応を心がけましょう。
設備の増設
居住空間や共用部の設備について、増設・改築の要望が来ることがあります。
対応するにはリニューアル費用がかかることもありますが、これらの声は改善すれば入居者の満足度を向上させ、空室対策になるものも含まれています。前向きな検討をしましょう。
具体例について解説していきます。
- 防犯カメラを設置してほしい
- ゴミ捨て場にコンテナを設置してほしい
- インターネットの電波が弱い
- 自転車置き場を増やしてほしい
防犯カメラを設置してほしい
特に女性向けのマンション・アパートやタワーマンションなどでは、セキュリティの観点で選ばれる物件もあります。物件のアピールポイントを増やせる可能性があるので、前向きに検討するとよいでしょう。
注意点としては、個人情報に関わるという点です。設置の際は、「防犯カメラ作動中」のステッカーを張り出しておきましょう。利用目的を示すことで個人情報保護法の問題をクリアでき、犯罪抑止の効果も期待できます。
また、設置場所・撮影範囲にも気を付けましょう。駐車場やゴミ捨て場などは犯罪防止の観点から設置が望まれます。また、エレベーターやエントランスなどは不審者情報との照合で役立つでしょう。
これらの効果を検討したうえで、コストとのバランスを考えて設置しましょう。
ゴミ捨て場にコンテナを設置してほしい
ゴミコンテナは、ゴミ捨て場に設置する大型のボックスです。不法投棄の抑制やカラスといった害鳥・害獣が寄ってくるのを防ぐ効果もあります。
プラスチック製の安いゴミコンテナなら1万円以下で購入できるものもありますが、より頑強なものは高いと10万円以上するものもあります。
地域の治安や入居者の要望を加味して導入の判断をしましょう。
インターネットの電波が弱い
近年ではWifi無料のマンションなどがあり、そうした物件の通信が遅いといったことも、よくあるクレームです。原因は様々ですが、物件の構造や立地によって、電波が届きにくくなってしまう場合があります。
対応方法としては、ルーターなどの設備の買い替え・通信キャリアの変更・通信方式の変更といったことが考えられます。いずれもコストがかかりますので、電話会社などに一度相談し、原因と対策について意見を聞いてみましょう。
自転車置き場を増やしてほしい
駅から離れている物件や、逆に都心で若者なら3駅程度は自転車で移動できるような立地の物件の場合、自転車置き場を増やしてほしいといった要望があります。また、近年では電動キックボード(LUUPなど)を利用する人も増えているため、駐輪スペースは需要があります。
自転車置き場は無駄なスペースがあればそこを活用することができます。無い場合は近くの土地を抑える必要も出てくるでしょう。そうしたときは一帯の物件を管理しているオーナーと相談し、共有の駐輪場を経営する方法もあります。
入居者同士のトラブル
入居者同士のトラブルによりクレームに発展するケースもあります。具体的な例を紹介していきます。
- 騒音
- 悪臭
- ゴミ出しルールの違反
- ペット不可物件でのペット飼育
騒音
夜間に大音量で音楽を聴いたり、足音が響くほどの激しい運動をする入居者がいると、隣室や上下階の住民から騒音の苦情が発生します。特に集合住宅では、騒音が壁を通じて広がりやすく、睡眠を妨げるなどの生活の質に直接影響を与えるため、クレームに発展しやすい問題です。
騒音問題は非常にデリケートな問題で、直接対決を避け、管理会社が仲介して注意を促すことが重要です。また、防音対策の提案や、賃貸契約時に騒音に関する注意事項を明確に伝えることも効果的です。
悪臭
ゴミの放置や不衛生な生活習慣が原因で、隣接する部屋や共用部分に悪臭が広がるケースがあります。特に、料理の匂いやペットの臭いが原因となることが多く、入居者同士のトラブルの元となります。
悪臭の発生源を特定し、該当の入居者に改善を求める必要があります。管理会社が介入し、ゴミの適切な処理方法や衛生管理の重要性を伝えることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
共用部分に私物を置く
廊下や階段、エントランスなどの共用部分に、ベビーカーや自転車、靴箱などの私物を放置する入居者がいると、他の住民の通行を妨げたり、火災時の避難の障害となり、クレームに発展することがあります。
共用部分の使用ルールを明確にし、契約書や掲示板で周知徹底することが必要です。また、ルールを守らない場合の対応手順を予め決めておき、管理会社が迅速に対応できるようにすることが大切です。
ゴミ出しルールの違反
ゴミ出しの曜日や時間、分別ルールを守らない入居者がいると、ゴミが長時間放置され、衛生的な問題や悪臭の原因となります。また、他の入居者が迷惑を感じ、クレームに発展することが少なくありません。
ゴミ出しルールを明確に伝え、ポスターや掲示板を活用して定期的に注意喚起を行います。違反が繰り返される場合は、管理会社が個別に注意を促すとともに、場合によっては罰則を検討することも必要です。
ペット不可物件でのペット飼育
ペット不可の物件でありながら、入居者がこっそりとペットを飼育しているケースは少なくありません。これにより、鳴き声や臭い、アレルギーの問題が発生し、他の入居者からクレームが寄せられることがあります。
ペット不可の物件でペットを飼育する行為は契約違反にあたるため、管理会社が速やかに確認し、必要に応じて退去を求める対応が求められます。また、ペット不可の理由や、ペット飼育による影響を入居者に対して明確に伝えることが重要です。
その他のクレーム
そのほか、管理会社に寄せられるクレームの例を紹介していきます。
害獣の発生
ネズミ・ハクビシンや鳩といった害獣の発生は、オーナーへのクレームとして起こります。例えば鳩の場合、防鳥ネット・防鳥用スパイクなどの設置が求められる場合があり、そのためにオーナーに連絡が来るというものです。
忌避剤(市販のモノやハッカのにおいがするモノ)や、鷹匠などの害鳥駆除業者に依頼することも可能ですが、薬剤の仕様や業者の出入りが発生するため、入居者への配慮からオーナーが対応することもあります。
入居者が鳩に餌を与えていた・長期不在の間に住み着いていたといった場合は原状回復で請求可能(区分所有法第六条)の場合もあります。しかし、それ以外の場合はオーナー負担での対応が必要です。
害虫の発生
害虫の発生も管理会社へのクレームとして、稀に発生します。具体的には、ゴキブリ、ムカデ、シロアリ、ハチなどが挙げられます。特にシロアリは建物へのダメージが大きく、迅速な対応が求められるでしょう。
対処方法としては、定期的な防虫剤の散布や隙間の修繕が考えられます。害虫駆除業者に依頼する場合、物件の構造的な問題や老朽化が原因であればオーナー様の負担となります。
こうした害虫は自然発生するものもありますが、入居者の不注意や衛生状態の悪さが原因で発生する場合もあります。その場合は、入居者に駆除費用を請求できる可能性があります。費用負担については、賃貸契約書に明記されている内容や、状況に応じて適切な判断を行うことが重要です。
不審者の侵入
共用部に不審者が侵入した、あるいは物件付近で不審者の目撃情報があった場合、オーナーに対応を求められることがあります。特に、部屋を荒らされた形跡がある場合は、迅速な対応が不可欠です。
共用部への対策としては、オートロックや防犯カメラの設置が効果的です。また、各戸の施錠を鍵穴のないスマートロックに変更することも有効な方法です。これにより、不審者の侵入リスクを大幅に減らすことができます。
不審者被害は入居者に不安を与え、空室率の悪化につながる可能性があります。そのため、可能な限り迅速に対応することが重要です。
Important 賃貸経営のクレーム対応の重要性
賃貸管理においてクレーム対応がなぜ重要なのか、その理由について解説していきます。
空室率の悪化
入居者からのクレームが満足に解消されない場合、すぐに別の物件へ引っ越されてしまいます。入居から退去までのサイクルが早まれば、その分、募集費用・原状回復費用がかかるので利益率にも悪影響を及ぼします。
新しい入居者が得られにくくなる
ネットが発達した現在では、クレームへの不満や物件の瑕疵といった悪い評判は、あっという間に拡散されます。そうなると、新規の入居者が獲得しにくくなり、入居率の低下へとつながります。
入居者から仮住まい費用を請求される
水道管の破裂や水漏れといった物件の瑕疵によるクレームの場合、入居者の生活が難しくなり一時的にホテルやウィークリーマンションなどの仮住まい暮らしを余儀なくされる場合があります。
このとき、対応が遅くなってしまうと仮住まいの費用を請求されてしまう可能性があります。
公的機関に報告される
クレーム対応をおざなりにしていると、入居者が公的機関に相談をする場合もあります。
例えばゴミがあふれかえっている部屋を放置した場合、警察に相談する入居者もいるでしょう。また、物件の瑕疵にもかかわらず自己負担での修理を養成する場合、国民生活センターへの相談が検討されます。
市区町村の苦情窓口・法テラスといった場所に相談されると、法律トラブルまで発展し最悪の場合は行政指導がはいる可能性もあります。
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さんれいコンサルティングの
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さんれいコンサルティングは、迅速丁寧なクレーム対応により、入居者の満足度を向上させ、オーナー様の物件価値最大化をお手伝いさせていただいています。
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近隣住民や入居者とのトラブルを起こしがちな、迷惑な入居者がいた場合、速やかに退去させ、新しい入居者の募集を開始します。
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